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現在の階層 A・P総研サイト/一般情報一覧 -2001年度/一般ニュース 03/28

2001/03/28発信:一般向けニュース
コラム『遊技機とホール内セキュリティ』

 3月29日発売の日本工業新聞社発行『パチンコ特集』の中のコラム『遊技機とホール内セキュリティ』を担当しました。

 これはその時の原文で、実際に掲載時にはページ数の関係で相当カットされています。
どうぞ読み比べてみてください。


 

遊技機とホール内セキュリティ(原文)

 三十兆円を越す巨大産業、または「娯楽の王様」などと言われ、日本中の駅前や街道筋には、行き交う人や車を誘い込む様に派手な看板が建ち並ぶ。 人々の憩いの場であり集いの場でもあるパチンコ店。 わずか百円でも楽しめるはずのパチンコに巨額の金が動き、そして破滅していく人もいる。

 よくも悪くも日本で生まれた独自の産業パチンコが、いま、大変な“悪魔"達の魔の手により蝕まれている。 今回は"悪魔"達とその悪魔からホールを守るためには、どうすればよいのか考えてみる。

 『ゴト師』と呼ばれるこの悪魔達は、一体ホールの何を狙っているのだろうか。 目的は至って簡単『金』である!

 問題は、その金をどの様にして入手しようとしているかの手口である。

 何も高価な設備をすることがセキュリティではない。最も有効なセキュリティとは、「敵を知り己を知ること」と言って過言ではない。

「えっいつの間に!」
「まさかこんな事が!」

 などなど筆者がテレビや雑誌などで、ビデオに映っているゴト師達の手口を解説する度に起こる感嘆の声で、細かく説明していたら紙面がいくらあっても終わらない。 今回は紙面の都合上、簡単に説明していく。

 まずパチンコにしろスロットにしろ、ゲーム性を生み出しているのは、基板に組み込まれている『ロム』と呼ばれるICチップだ。このロムの中に、音や液晶画面に出てくる絵柄や大当り確率まで、必要なプログラムが全て書き込まれている。

 このロムを交換すると、自分達だけが知り得る特殊な打ち方をする事により、大当りを自由自在に引き出すことが可能となる。 この換えたロムのことを『裏ロム』と呼び、特殊な打ち方を『セット打ち』と呼ぶ。そして、セット打ちを行い不正に玉を出す輩を、『打ち子』と呼び、ゴト師の一味である。

 

裏ロム交換の手口とは?!

 裏ロムを交換する手口は、大まかに三種類に分けることが出来る。

 一つ目が夜間や定休日などに行う侵入である。 まず下見を行い、セキュリティセンサの位置や数と向き、そして鍵はどのタイプを使っているか(ピッキングが出来るかどうか)などを調べる。

 さらに隠れる場所を探す。一番多いのがトイレの点検口に隠れ、深夜、人がいなくなると出て来てロムを交換するのだ。同じく玉場(ホール内の玉を循環するためや磨いたりするための貯蔵庫)なども天井裏まで装置が貫通しているので、一度入ってしまえば隠れ場所には困らない。

 さらに先日テレビで解説したゴト師の手口とは、換気扇や、換気口からホール内に侵入する場面についてだった。

 セキュリティセンサは、外部からの侵入に対し有効に働くように向きや位置を決めていることが殆どで、筆者が講演会などで、「ゴト師は空から振ってくることをセキュリティ会社は知らないのだ」と言っている意味を理解してもらえることだろう。

 二つ目に営業中に台を開けて、堂々とロムを交換する方法だ。 そんなことをすれば直ぐに分かるだろうという方も多いだろうが、実際には実行犯のリーダーの合図と共に数名の男達が狙った台を取り囲み、上着を広げて仕事を見られないようにしてしまう。

 客が自分達の方を振り返ろうものなら、思いっ切り『ガン』を飛ばす。 島端で見張っている仲間は、従業員が近づかないように質問をしたりして足止めをするなど、見事な連係プレーを披露してくれる。 上着を広げる仕草から、このゴトのことを『コウモリ』と命名した。

 三つ目は、ホールの責任者を仲間に引き込む手口だ。これが一番性質が悪い。

 オーナーの中には、昼間はゴルフ夜はクラブ通いで、「売上げ以外に興味はない」なんていう人がまれにだが存在する。

 「最近売上げが悪いがどうしてだ?」などと聞いたところで「いや〜、うちなんか良い方ですよ! この不景気で他所のホールなんかどんどん潰れているのですから」と言われ、「そうか、お前のおかげなんだな」などと、肩まで叩いて感謝などしていると、気が付いた時には、『客の全てが打ち子に変わっていた』なんて、アガサクリスティでも驚く結末を迎えることになるかもしれない。

 他には台の運搬中や清掃業者に紛れ込むなどの手口も増えている。 清掃業社に関わる事件では、「いつも使っている業者だから安心だ」などと思っていたら、アルバイトにゴト師を送り込まれており、清掃業社の社長まで騙されていたと言う事件が有ったほどだ。

 

裏社会の儲けは、なんと二千億円!

 さて、交換するのもロムだけに限らず、基板ごとだったり、基板からの信号を受けたり出したりしているハーネス(コードの束)の中に仕込むなど、どんどん多彩にそしてハイテク化されていく。

 そこまでして果たして儲かるのか? 儲かるんです! それも物凄く!

 数年前、埼玉で裏ロムを仕込んでいたとして逮捕されたあるホールの店長の貯金通帳には、一億5千万円もの数字が刻まれていた。 振り込んでいたのは驚いたことに、埼玉や都内の主婦達だったのだ! 打ち子が、何も "やくざ"や"中国人"ばかりではなく、サラリーマンに学生、主婦にも広がっている証明と言えるだろう。

 見かけない輩が多くの玉を出していると目立つので、常連客を引き込み、数年来の常連だったはずの客が、いつの日からかゴト師の一味として打ち子に変身しているなどというのは、至極当たり前の話なのだ。

 さらに名古屋のある町で、脱税により数名が逮捕された事件について。 きっかけは数千万円の家(ほとんど億に近い金額)を現金で買ったため、税務署が不審に思い捜査をしたところ、大掛かりな『裏ロム組織』の一員であることが分かった。 なんと! その組織だけで約百億円もの利益を上げていたというのだ! しかも、これは氷山の一角にしか過ぎない。

 余談だが、このグループのリーダーがある代議士に金を渡し、刑を軽くしてもらえるよう便宜を依頼したが、何もしてもらえず金だけを奪われたとして訴えを起こすという、なんとも笑える結末となってしまった。

 当時、他のグループの規模や動きなどから、筆者が「業界全体では千億!」と試算した結果をマスコミや講演会で公表して、業界が騒然となった。

 そして、「最近では減るどころか、ますます増えて、二千億円を超えているのは間違いない」と言ったことから、『被害は二千億円』というのが新たな定説となっている。

 

防止策について!

 さて防止策だが、セキュリティセンサの位置や向きを上記の例を参考にして検討する。

 分からなければ『目一杯増設する』のが良い方法だ。『下手な鉄砲も数撃ちゃあたる』方式である。  鍵はピッキングに強い【CムPC認定錠】に交換し、使わない鍵穴や最終出入り口以外の外に出ている鍵穴はさっさと潰すことだ。

 従業員に対しては、雇うときの身元の調査は勿論、日頃の金遣いにまで注意を払わなければならない。 ホールの新台入れ換えや新規オープン時など、多くの業者の出入りが多くなる。 その時には業者ごとに色分けした腕章を付けさせ、さらにナンバーごとに名前をチェックしていく。

 忘れがちなのは、自分達ホール側の人間にも同じ腕章を付けさせなければならない。 背広を着て偉そうに「ご苦労さま」なんて言われたら、業者はホールの人間だと思って頭を下げてしまうだろう。相互監視をする事を肝に銘じよう。

 運搬業者については、到着時間を厳守させ、少しでも遅ければ強く詰問し、その場で台の点検を行い、点検が終わるまで帰さないぐらいの強い姿勢を示さなければならない。 その他には、電波ゴト・セルゴト(ピアノ線)などが頻繁に行われている。

 現在は情報時代であり、弊社などもインターネットを通じて画像などにより防止策を提供している。 だが、情報を得るだけでなく、選択する時代に変わってきたのではないだろうか。 呉々もデマやガセネタに振り回されることのないように。

 貴方を狙っているのはゴト師だけとは限りません! 御注意召され……。


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